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TOP ライブラリー クライアントインタビュー エグゼクティブインタビュー 株式会社アマナホールディングス取締役 岩永 行博 氏

エグゼクティブインタビュー

株式会社アマナホールディングス取締役 岩永 行博 氏

「伝える」から「伝わる」コミュニケーションをスローガンに、「ビジュアルコンテンツの企画制作事業」および「ストックフォトの企画販売事業」を提供しているアマナグループ(http://amanaholdings.jp/)。
株式会社アマナホールディングスで取締役を務める岩永行博氏にお話をお伺いしました。

取締役 岩永 行博 氏

株式会社アマナホールディングス

取締役 岩永 行博 氏

昭和53年4月 ㈱マッキャンエリクソン博報堂(現 ㈱マッキャンエリクソン)入社
昭和56年3月 パイオニア㈱入社
平成8年4月 ㈱ジャパンイメージコミュニケーションズ入社
平成12年7月 ㈱アマナ(現 ㈱アマナホールディングス)入社 ウェブ開発室長
平成14年3月 取締役 ストックフォトの企画販売事業部門 営業担当
平成16年8月 取締役 ICT担当
平成19年1月 ㈱アマナイメージズ取締役(現任)
平成20年7月 ㈱アマナ取締役(現任)
平成20年10月 ㈱ナブラ代表取締役社長
平成21年1月 ㈱アマナインタラクティブ取締役(現任)
平成21年3月 ㈱アマナホールディングス取締役 営業担当(現任)

小黒 力也

インターウォーズ株式会社

インタビュアー 小黒 力也

理系大学院修了後、国内系シンクタンクに入社し、金融機関向けのシステム開発に従事。ヘッドハンティング業界に転じ、IT部門のマネージャを経て、現職。

アメリカ留学時代に出会ったインターネット、アルバイトから取締役へ、個人事業主を経てAMBLへ

小黒 力也(以下、小黒御社の事業内容を教えていただけますか。

岩永 行博 氏(以下、岩永):弊社は大まかに分類すると、広告の企画制作会社です。現在、ホールディング制を取っており、中核となっている事業会社が4つあります。

まずは、『株式会社アマナ』を中核事業会社としたグループ。これはアマナグループ創業時からのビジネスで主に撮影やCG(2D、3D)作成、そしてそれらを中心に広告のビジュアル制作を行っています。

2つ目は、『株式会社アマナイメージズ』を中核事業会社としたビジネスです。元々はストックフォトライブラリからスタートしている事業です。ただし、これまでは広告の素材として写真やイラストをスライドで貸し出していたように、写真イメージの販売が主でしたが、最近は3Dのモデリング素材や、動画、音、フォント・筆文字の販売、さらにはモデルのWebオンラインでの紹介といったサービスを提供しています。
前出のアマナの事業グループは、プロデューサーと呼ばれる人的な営業手法でサービスを提供していますが、このアマナイメージズのグループは、どちらかというとWebサイトを中心として、オンラインでの事業を展開しています。

岩永 行博 氏

3つ目は、『株式会社アマナインタラクティブ』を中核事業会社に、広告の企画制作を手掛けています。主なサービスは、CMやWeb制作です。また、最近では電子カタログの制作や出版なども手がけています。例えば、パリ発のお洒落で洗練されたキッズファッション誌『ミルクジャポン』や、子会社では”創造的に作り、創造的に食べる”をコンセプトとしたフードマガジン『料理通信』の出版を行なっています。
基本的にはトラディショナルなCM分野の売り上げが大きいのですが、そこにWebを加えたクロスコミュニケーション戦略を提案しています。ご存知のように最近のCMを見ると「○○で検索」というものが多くあると思いますが、CMからSNSも含めたWebメディアに展開します。これによって、一般広告媒体と自社メディアとSNSを組み合わせて、最大限のコミュニケーション効果を上げようという訳です。さらに、そこにアナログ本から派生することも多いですが、電子出版系のビジネスを加えて、CMとWebと電子出版をクロスオーバーさせると。Web関連のメディアは基本的にデータベース構造を持っていますので、そこに登録しているお客様がいますよね。将来的には、それらのデータベースを元に、自社ポータルを使って、リサーチを含めた企業サービスをやろうと考えています。

4つ目の事業が、エンタテインメント映像制作のビジネスです。これは2011年の7月からグループ入りをした『株式会社ポリゴン・ピクチュアズ』という会社が今のところ1社で手掛けています。主にハリウッドを中心として、『トランスフォーマー プライム』や『スターウォーズ:クローン・ウォーズ』等のTV版のCG番組制作等を行っており、特に日本のCG界では草分け的な存在の会社です。
これまでのアマナグループは、”B to Bビジネス”がほとんどでした。ですから昨年初めて、サービスそのものが一般向けの”B to C”のエンタテインメントビジネスに入っていったということになります。

岩永 行博 氏

以上、大きく分けて、「ストックフォト系の会社」と、「撮影・CGを中心としたアサイメント系の会社」と、「CMとWEBを中心としたインタラクティブ系の会社」と「ホームエンタテインメント系の会社」でグループ全体が成り立っています。ただし、そこを一つ貫いているのが”表現力”ということです。
私達のコーポレートミッションとして、”「伝える」から「伝わる」コミュニケーションへ”というものがありまして、それは全グループ共通で持つようにしています。つまり、単に”伝える”のではなく、実際にお客様に”伝わる”表現をしようということです。

小黒:グループ会社が多いように感じますが、これは何か方針があるのでしょうか?

岩永グループ会社が多いと言っても、特にフォトグラファーの会社などは、十数人規模の会社もあります。それでも独立した会社にしているのは、それぞれの会社の個性を大切にしたいということが理由の一つとして挙げられます。例えばグループ会社の『株式会社ヒュー』は、特に食品・飲料系の写真表現を得意とするフォトグラファーの会社です。このように、ある特定の得意分野を持っていると、その分野のお客様からは一定の信頼を得ることが出来ます。そういった個性を際立たせるために、グループ会社にしているという面もあります。
また、グループ内でクリエイター達がお互いに切磋琢磨できる環境を作りたいということも理由として挙げられます。つまり、それぞれのグループ会社の社長の「色」を持った組織を作って、お互いの会社を競争させ、向上させたいと考えています。

岩永 行博 氏

小黒:社内の雰囲気について教えてください。

岩永基本的な考え方として、私達はクリエイター集団であるということです。ですから、もちろんクリエイティブな環境、社風です。よくグループCEOの進藤が言っているのですが、私達は野球型ではなくてサッカー型であると。例えば、野球では監督がサインを出して、選手はその指示に従い、打つと三塁側ではなく、絶対に一塁に走らないといけないですよね。逆にサッカーはフィールドに出れば、ある方針に従って、選手が自ら判断してプレイをする。そのように、うちではどこに走っても良いということです。例えば営業だったらどこを走って売り上げを上げても良いよと。ただし、サッカーフィールドにもあるように白線があって、そこから出たら、当然スローインになりますよね。一見自由ではありますが、もちろん、あくまでもある一定の枠の中でという話です。

岩永 行博 氏

小黒:岩永さん個人についてのお話もお聞きしたいのですが、過去に起業をされた経験もお持ちだそうで、これまでの略歴を教えていただけますか?

岩永最初は広告代理店ですね。メディアプランニングで入社して、営業も経験しました。その後、音楽や映像が好きだったこともあり音響・映像機器メーカーに転職し、レーザーディスクの宣伝企画を担当したのですが、その当時、ミュージックビデオのブームが来たんです。日本ではあまり普及していませんでしたが、これはこれから来るだろうと、ミュージックビデオ系の会社を作ろうと決意しました。そこで、仲間4人と『ビデオアーツジャパン(現 ビデオアーツミュージック株式会社)』を設立し、オリジナルビデオ等の制作を手掛けるようになりました。そこで映像のディレクター、プロデューサー、後にはCDのプロデュースやディレクター等もやっていましたね。
その後、CS放送向けテレビ番組の制作・調達会社に移り、映像のプロデュースなどを行っていましたが、「ストックフォトのデジタル化事業の立ち上げを手伝って欲しい」と誘われて、98年にアマナに入社をしました。

小黒:進藤社長の印象は?

岩永すごく頭が良い方という印象です。
普通は物事を白か黒かで考えると思うのですが、彼は元々フォトグラファー出身なので、そこにもう一つ要素が入るんです。フォトグラファーは撮影を行う際には、シャッタースピード、露出、絞りの3つの視点から考えますよね。そういうタイプのように感じます。
あと、一度出たアイデアを、基本的にはもう一度寝かせるんです。良い意味で、慎重で周到。そういう点ではビジネスマンだと思います。クリエイティブを分かっているビジネスマンですね。本当によく勉強されていて尊敬しています。

小黒:岩永さんの現在のお仕事をお聞かせください。

岩永現在は、営業、マーケティング担当の役員として、グループ全体を横断して見ています。その中でも大きなミッションとしては2つ。

一番大きなミッションは、コーポレートマーケットの開拓です。
コーポレートマーケットとは、私達のサービスを提供する相手が、いわゆる一般企業の宣伝部や広報部、マーケティング部等の場合を指します。
一方、私達のサービスを提供する相手が、例えばアートディレクターやデザイナーさんと言った、広告のプロの場合もあります。実は、数年前まではこういった対プロフェッショナルが売り上げの8割で、対コーポレートは2割しかありませんでした。
グループをまたいで、このコーポレートマーケットの売り上げを伸ばすというのが、今の私の一番のミッションです。

岩永 行博 氏

後は、コーポレートマーケットの開拓とも密接に関わるのですが、クライアントサービスとしてのワークフローの合理化です。例えば写真ということで見ると、企業の広報・宣伝部の人はたくさん写真素材をお持ちだと思いますが、それを整理して、みんなで共有して、効果的に使用してもらうとか、制作の過程をネットを使って合理化するとか、企業の間接的なコスト削減にもつながるミッションを手掛けています。

小黒:全社的な”B to C”の部分への取り組みについて教えてください。

岩永グループでエンタテインメントビジネスを手掛けるポリゴン・ピクチュアズは、サービスそのものが一般向けの”B to C”なので、既にスタートしているとも言えます。また、アマナインタラクティブのグループの中には出版事業もありますので、そこは”B to C”ですよね。後は、アマナイメージズが取り扱うコンテンツを利用したiPadアプリを手掛けています。例えば、『世界美術館』や『写真が捉えた歴史的瞬間100~corbis collection~』、『100点の西洋美術で読み解く「キリスト教とは何か。」』というアプリをリリースしています。他にも代官山に「アマナイメージズギャラリー」をオープンさせました。そういった意味で”B to C”は徐々にスタートしています。

岩永 行博 氏

小黒:岩永さんの個人的な夢を教えてください。

岩永実は、音楽が趣味でバンドを組んでいます。ベースが上手くなりたいです(笑)
後は、犬かネコと公園で音楽聴きながら過ごしたいですね。

小黒:このインタビューをご覧の方々にメッセージをいただけますか?

岩永私は2つのことを一緒に考えることが必要だと思っています。つまり、ロジックと感性の融合が出来るかということです。ロジカルシンキングが出来る人はいるでしょう。もちろん感性が優れている人もいると思います。でも重要なのは、ロジックと感性をどう融合させるかということだと思うんですよ。その代表者が故スティーブ・ジョブズ。彼はビジネスマンからは、感性の部分ばかり言われることが多いですが、私は絶対にロジカルだと思います。ただ、ロジックでは説明できないような感性ってあるじゃないですか。例えば情熱だったり。それが融合していると思うんです。
そのことが重要だと考えています。私はそれを仕事で一番大切にしているかもしれないですね。

岩永 行博 氏

小黒:その都度、感性とロジカル、2つの側面で考えていかないといけないですね。

岩永そうですね。うちのCEOもその辺をすごく大切にしています。この人はどれだけやる気があるのかということをよく見ていますよ。ある程度ロジカルで、本当にやる気があったら、何でもやらせてくれる人なんです。ただ残念なことに、ロジカルなんだけど、本当にやる気があるのかな?と思わせる人も多いですね。
おかげ様で会社も大きくなり、仕組みがある程度出来ているので、ルーチンをこなしていれば一応何とかなるようになってしまいました。しかし、何か新しいことをやるためには、ロジカルはもちろんですが、やっぱり「絶対に成功させる!」というような強い信念がないとダメですよね。

小黒:今後、こんな人に入社して欲しい、またはこんな人がうちには合っているんじゃないかということはありますか?

岩永多様な人に来て欲しいですよ。これからは国籍も含めた多様性というものが大変重要になってくると思います。ただ、多様な人を受け入れる土壌がまだ私達には十分に出来ていないと思うので、色々と整備しないといけないのでしょうが、そういう部分は、実際に多様な人に来てもらって成功してもらわないとなかなか出来ないのも現実です。
また、今はスマートモバイルの台頭で、以前インターネットが世に出てきたときのような変革が訪れていると感じています。なので、特にその分野が得意な、または強い思いを持った人達はこれから重要になってくるでしょう。
いずれにせよ、私達にはやはりどこかで表現に対するこだわりを持っていて、なおかつマーケティング的な思考が出来るとか、仕事だけでなく、プライベートに何か趣味、嗜好を持っている人に入社してもらえると良いと思います。

内観

小黒:本日はお忙しい中、ありがとうございました。