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トップインタビュー

「インターネットを使って、社会を今よりもあたたかくする。」を事業目標に、ソーシャルメディア・コンサルティングを行っている株式会社エイベック研究所(http://www.aveclab.com/)。

同社の課題や今後の展望について、武田隆社長にお話をお伺いしました。

まずは御社の設立の経緯を教えてください。

当社は学生ベンチャーとして始まりましたが、元々はインターネット関連の輪読会からはじまりました。当時は、インターネットの技術書はとても高くて、皆でお金を出し合って、買い集めたんです。
私がインターネットに最初に触れたのは大学のゼミで、94年でした。NASAのサイトにつないで、惑星の写真を見せもらったのです。当時は回線も遅く、画像のダウンロードにとても時間がかかり、すぐにすごいものだとは分かりませんでした。しかし、時間差でじわじわとある種の感動が押し寄せてきました。「そうか、世界のコンピューター同士が直接つながっているわけで、地球が一つになるということか」そういう実感があったんですね。そこでともかくもインターネットを何が何でも始めなければと思い、100万円ほど借金をしてコンピューターというかマックを買い、海外サイトのソースコードを見て、WEBサイトを自作しはじめました。当時はWEBサイトを作れる人があまりいなかったので、学生ではありましたがWEBサイト制作の依頼が来るようになりました。その収入でマックの借金も返せるし、普通のバイトも辞められるということで、そのインターネット関連本の輪読会が、95年にWEBサイトを作るチームとなりました。自分たちが作りたい、インターネットならではのメディアをつくろうというコンセプトで頑張ったら、採用ホームページ人気ランキング食品部門1位を獲得した、アサヒビール就職サイト「GARDEN ASAHI」や、松竹100年映画祭のサイトなど結構評価をされたんです。そこで、これを本格的にビジネスにしようと言うことになって、96年に代官山のマンションを皆で借り、創業を迎えることになりました。

当時はソーシャルメディアではなく、色々な企業からのオファーに対してWEBを作っていたのですか?

そうですね。ただ、インターネットはTV 等とは違って双方向、インタラクティブなものなので、「私たちが作るWEBサイトも必ず双方向なサイトにしよう、そうでない仕事はあまりうけたくないです」とも言っていたんです。当時はIBMさんやダイエーさん、リクルートさんの採用サイト等もやらせてもらっていました。

ソーシャルメディアを作るようになったきっかけは何ですか?

98年頃、広告代理店さんが本格的にWEBサイトを作るようになってきたんです。クライアントとの間に代理店さんが入り、代理店さんから仕事が来るようになりました。これは業界全体としては、インターネットがメディアとして認められた、営業が楽になったということでもあるのですが、当社の仕事の仕方とは相容れなくなくなってしまいました。というのも、クライアントと直接会話ができず、インターネットならではの企画を考えることが求められなくなってきてしまいました。代理店さんが売っているTVの枠の一部をWEBに回し、「無料で作ります」とWEBサイトをオマケとして扱っていたからです。それでは、「インターネットならではのメディアを作ろう」という当社の理念がなくなってしまう。そこでWEBサイト制作で得た貯金を全て取り崩して、自社開発を始めました。その企画が、今弊社が提供しているソーシャルメディアです。インターネットは双方向で、WEBサイトに来る人たちも皆双方向になっていくので、個人と個人、個人と企業が双方向に網の目になりますよね?これを当時はオンラインコミュニティと言い、「日本発の世界にないものを作るぞ」と旗揚げしたのがきっかけです。

そこからはどのように進んでいったのですか?

98~99年で設計図が出来上がり、投資家を募ったのですが、ビジネスモデルがないからダメだと言われました。投資家は、当時のネットビジネスの基本通り、広告を出して広告モデルにしろというのですが、単に広告を打つのは既存メディアの縮小版の一方向コミュニケーションだからどうしても嫌で。そこで考えた結果、企業と顧客に双方向コミュニケーション、つまり対話をさせれば良いのだと思いつきました。オンラインコミュニティのビジネスモデルは、企業がコミュニティに集まった顧客と対話し、リサーチとプロモーションが同時にできる場所を作ることだ、と投資家に説明しました。2000年のインターネットバブルも崩壊しつつあり、安易な広告モデルが失敗する中で、ある投資家がモデルの先進性を評価してくれて、2000年に株式会社化しました。2001年にプロトタイプができ、ぴあさんとNTTレゾナントさんのgooが、お金のやりとりなしのトライアルという形の提携だったらやってもいいよと言ってくださり、ぴあコミュニティとgooコミュニティが実験的に出来ました。そこから私たちはコミュニティを活性するためのノウハウの蓄積と、活性した後にリサーチ・プロモーションに活用する方法を、一つずつ集計・分析しながらトライ&エラーでやっていきました。これはとても地道な作業で、結局、コミュニティが活性化し利益が出るということを証明するのに、5年もかかりました。

コミュニティが活性し利益が出るというのは、具体的にはどういうことですか?

当時、ベネッセコーポレーションさんに、インターネット上のクローズドの空間にコミュニティのメンバーを8名集めてもらい、オンライングループインタビューを実施しました。1日1つ質問を投げ、コミュニティメンバーの好きなタイミングで意見を返してもらい、翌日に皆の声のサマライズと次の質問を投げるということを続けていきました。すると1週間を超えた辺りから、従来のグループインタビューでは決して出てこない、本音が出てくるんです。このことから、オンラインにおいて特定のアーキテクチャーを作ることで、企業が本当に自分の声が求めていることをユーザに実感してもらうと、調査として構えていたユーザが、自然と心を開くということが分かってきました。当時の担当者さんは、今まで行ってきた調査では聞けなかったことをこのコミュニティを通じて聞くことができたと、とても満足してくださいました。他にも、インタビューに参加した人達がその企業の商品を買うことも分かったのです。仮説として、適切なアーキテクチャーのコミュニティを作って、そのコミュニティが活性すると皆がその企業のファンになるので、購入意欲が向上するはずだとは思っていたのですが、定量的な分析はなかった。そこで実際に、ある通販会社で、同じターゲットに対して、いわゆるABテストをして比較したところ、活性したコミュニティ参加層は購入が123%も伸びたという数字が出ました。コミュニティは、リサーチにも使えるし、売上向上にもつながるということが証明されたわけです。その実績から色々な企業様とのお付き合いが始まり、延べ300社の企業様とお仕事をさせていただきました。

それはどういった企業が多いのですか?

ほとんどは、日本を代表するような各消費財のトップ企業様です。当時は非常に先進的な取り組みでしたので、特にトップ企業のありとあらゆる施策を試したことがあるマーケッターの方が、我々のサービスの価値を評価してくれたのです。また、コミュニティを構築し活性させて売上につなげるというのは、先行投資がかかるので、その点でもトップ企業が中心です。

具体的にはどのような体制でサービスは提供されているのですか?

当社はクライアント企業様に対して専門分野の異なる8名のチームを組んでいます。マーケティング戦略を立案する担当、コミュニティを活性させる担当、コミュニティを運営する実働担当、調査の担当、デザイン制作の担当等、多岐にわたります。例えば、顧客の声から体験記を作るという施策があったとします。その為には、調査の担当がコミュニティで顧客の声を深く聞き、デザイン担当とディスカッションしながらサイトの構築を行う。もっといえば、その体験記というのは、より大きなマーケティング戦略の一部ですから、クライアント企業様のマーケティング責任者の方とディスカッションできるレベルのマーケティング戦略担当者が必要になります。つまり、全く違う専門分野が一緒になって初めてクライアント企業様に満足して頂けるサービスを提供出来るのです。そのことをクライアント企業様から教わってきました。300社の企業様とお仕事をしていく中で、満足を提供するには何が必要かということを追求し、クライアント企業様に育てていただいていた結果、現在の体制になっているのです。

クライアントは、新しい商品が出る度や、何かある度に、コミュニティで顧客と対話しているのですか?

ファンクラブのようなものなので、企業側から何かものを伝えれば、コミュニティメンバーがFacebookやTwitterなどで広報してくれます。調査したところ、彼らは一般消費者の20倍話すことがわかっているためインフルエンサーと呼ばれていて、クチコミを起こしてくれるピュアな消費者であり、商品開発においてもとても熱心に答えてくれます。従来のアンケート調査は2、3ヶ月かかるのですが、コミュニティに質問を投げれば、3日程度で声が集まってきます。新しい商品が出る度に、コミュニティのメンバーに質問している企業様も多いですね。

クライアント企業はどれくらいのペースで拡大していますか?また、今後の目標、見通しを教えて下さい。

お陰様で顧客は増え続けていて、2005年から2010年の5年で10倍になっています。最近も数十%の成長率です。最近増えているのが、日本企業の海外事業部ですね。当社のサービススキームを海外市場向けに水平展開しようと、昨年から今年にかけて、中国(北京、上海)、インド、アメリカ、オランダの4カ国で実験し、成功しました。来年末までに実施国を40カ国まで広げる見込みです。

今は海外進出を考えていらっしゃると言うことですか?

そうですね。コミュニティで顧客と対話するのは会社の最重要課題ですから、私たちがお話するのは、いわゆる意思決定層である経営層の方も多く、皆、海外進出を重要な課題としてあげられています。全体的に日本の企業の海外進出志向が強くなってきていますから、マーケティングサービスを提供する企業は、これに対応できるかどうかが一つの競争力になってくると思います。

更にそこから、海外の現地での展開ということも視野に入れているのですか?

はい。当社では会社を船に例えています。その船には旗があり、そこにはWorldwide Communityと書いてある。今後12ヵ年計画では、船の航路はグローバルシールートになっています。

いいですね。お話を聞いていると、色々ご苦労やトライ&エラーも繰り返していらっしゃいますが、順調に伸びてきたという印象を受けます。

そうですね。お蔭様で2011年8月の矢野経済研究所さんの調査では、ソーシャルメディア構築市場という小さな市場ではありますが、日本のトップシェアを占める、と公表していただいています。

現在、感じていらっしゃる課題はありますか?

やはり人材についてですね。我々のサービス提供チームの一員となるタレントを見いだすのは容易なことではありません。私達の仕事は、面白いけれど難しい。新しい領域を切り開いていく仕事なので、クリエイティビティも求められるし、過去に積み上げてきたことが通用しないので、スタディしていかないといけないのです。また、専門分野の異なるメンバーでチームを作りますから、コラボレーティブな姿勢を必要とされます。だから、それを面白いと思える人でないと、当社で働くのは大変かもしれません。また、コラボレーションについては、社名である「エイベック」の"Avec(アベック)"は"一緒に"という意味であり、企業と顧客、顧客と顧客、企業と企業もコラボレーションをする仕組みを作っています。そうすると、提供サービス自体がコラボレーションの固まりなんですよ。コラボレーションメソッドという社内で大切にしているメソッドがあり、それをマスターしていくのは簡単なことではないのです。

なるほど。そうすると、社員の方々に求めることは、どのようなものですか?

成長するために前向きでいるということと、一緒にやっていく姿勢があることですね。エイベックの"Avec(エーヴィーイーシー)"って、"アベック"と"アセンディング・ベクトル"の2つの読み方があり、"一緒に"と"成長、スタディ"という2つの意味を持っています。これが正に会社のカルチャーそのものです。

今後の会社の長期的なビジョンはどのようなものですか?

メディアと事業と組織についてそれぞれビジョンがあります。まず、メディアに関しては、より双方向に、ということですね。今のFacebookやTwitterはソーシャルメディアの完成形ではないと考えています。

FacebookやTwitterはどの点が未完成なのでしょうか?

Facebookは知人とのネットワークでコミュニケーションするものですよね。ですから、逆に知人を超えたコミュニケーションが起きづらいのです。アメリカやオランダでFacebookの利用実態を調査しましたが、やはり皆、ネットワークを広げすぎてFacebookに疲れてきてしまっています。日本の「mixi疲れ」みたいですね。だから今では家族や親友にネットワークを縮め、自分が素でオープンできる小さいコミュニティを作ったりしているようなのです。日本もいずれはそうなっていくかもしれません。そうすると、マーケティングでFacebookやTwitterを利用しようとするのが難しくなってくるわけです。

企業がマーケティングで利用できるのはどのようなソーシャルメディアなのでしょうか?

私は、リアルな知人とは別に、元々知らない人同士でも価値観をベースに集まれる場所というのが必須条件と考えます。企業が作るコミュニティというのは知人のネットワークを超えて集まれる、ちょうど良い集合場所なんです。無視されることもなく、知人のしがらみもないわけですから。かつ、コミュニティに参加した人は、例えば商品開発に自分の意見を言って企業から感謝されることで、色々と手伝っているような温かい気持ちになる。私は、このことはインターネット上においてとても面白い現象だと思っています。マーケティング的にも、今までは顧客の顔が見えない方法ばかりだったのですが、このように消費者の声がダイレクトに伝わると企業側も変わります。我々の目的は、離れているもの同士をつなげようということなので、例えば自治体と市民や、マスメディアと視聴者などにも広がります。20世紀の高度成長期を通過した日本は便利になりましたが、心と心は離れているところがあって、それをつないでいくことがインターネットにはできる可能性があります。自治体は市民と活発に交流し、地域の様々な施策が実現できるのです。それを繋げていくと、日本全体が大きなコミュニティになっていくはずだと考えています。

インターネットでも、離れている人同士を繋げて、温かい関係性が生まれるわけですね。

これからインターネットは温かいものになってくと思いますよ。これから求められるものが、人と人、心と心の交流になってくるからです。今までITというのはアメリカで流行ったものをいち早く日本に持って来るのが良いと言われていましたが、これからは変わっていきます。というのも、ハードやソフトのコモディティ化が進んでいて、勝負はサービスやコミュニケーションの中身に移ってきています。日本はコミュニケーションが成熟していて、消費社会が進み、少子高齢化なども含め、課題先進国です。様々な課題をソーシャルメディアが全部解決できるとは思わないですが、人と人がつながり合うことで、解決の方法がきっと見つかります。それこそコラボレーションを後押しすることができると思っています。そして、日本でそれを必要とし成功するのであれば、他の国でもそうなっていくでしょう。

他の企業で追随してきているところや海外で同じようなことをやっているところはないのですか?

グローバルに展開しているような企業様がマーケティングのパートナー企業を選定する際、当社と競合する会社が多少はありますが、今のところ、負けたことはありません。 日本市場は世界のマーケティングソリューションの競争からだいぶ遅れています。ソーシャルメディアが騒がれてきたのはここ数年の話ですが、私たちはこの領域一筋で12年間続けて来ています。追随してくださる方がいたとして、もちろんその方たちが12年かかるとは思っていませんが、当社は負けないと思いますね。蓄積されているノウハウ自体もそうですが、場のアーキテクチャーの設計というのが必要になってくるので、当社のように組織全体がコラボレーションできていないと難しいですね。それだけの専門チームが集まってやらないといけないし、まずは組織作りが必要になってきますし。

なるほど、メディアのあり方と事業と組織は実はつながっているのですね。

それは重要なポイントです。我々の事業の本質は、離れている様々なもの同士をつなげていくことにあります。ですから、それを実行する組織はどんどん専門特化していったとしても、同時に全体の場作りをできることが重要です。つまり、スペシャリストとゼネラリストを両方併せ持つような人が必要なのです。当社の事業構造からすると、スペシャリストでありながらコラボレーティブに出来ないと、その深堀りしたスペシャルな技術を、価値に還元出来ないのです。

最後に、御社にご興味を持ち、転職を考えている方に対してメッセージをお願いします。

マネージャー、管理職の方であれば、おわかりいただけると思うのですが、やはり人材を育てることが、マネージャーの仕事として最重要だと思うんですよね。つまり、人の成長を促すことが、即、事業の成長に繫がります。一方、私たちのような事業の場合は特にそうなのですが、新しいものを作ろうと思ったら、イノベーションに向けた、コラボレーションが求められます。言い換えれば、参加者のアウトプットの単純な総和を超えるものを作り出すことは、おそらくマネジメントの方の場作りにかかってくると思います。成長とコラボレーション、この2つはマネージャーの方のさじ加減でどうにでもなってしまうので、とても大変だと思いますが、だからこそチャレンジするに値するのではないか。また、学びたいという意識があるのであれば、当社はそうできる人が評価されるし、求めています。しかもWorld Wide Communityを掲げているので、マネジメントできる人間がいる分だけ、部署が増えていくわけです。当社では会社の現状の構造が昇進を制約する、いわゆる上が詰まっているということはないので、活躍のチャンスは多分にあると思います。

本日はお忙しい中、ありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。



株式会社エイベック研究所
代表取締役 武田隆 氏

■プロフィール
ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)の株式会社エイベック研究所代表取締役。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社のマーケティングを支援。2011年7月に出版した著書「ソーシャルメディア進化論」(ダイヤモンド社刊)は第6刷のロングセラーとなっている。1974年1月生まれ。海浜幕張出身。

※こちらの記事に関するお問合せは、<info@interwoos.com>まで。

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