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トップインタビュー

株式会社gloops 代表取締役社長 兼 CTO 池田 秀行 氏

「みんなの手に、新しい遊びを。」をコーポレートスローガンに、ソーシャルアプリケーション事業を行う株式会社gloops(グループス)(http://gloops.com/)。

6月29日に代表取締役社長に就任された池田秀行新社長に、同社の課題や今後の展望についてお話をお伺いしました。

代表取締役社長 兼 CTO 池田 秀行 氏

株式会社gloops(グループス)

代表取締役社長 兼 CTO 池田 秀行 氏

1976年生まれ。
東京工業大学卒業後、大手SlerにてJavaでの大規模SIの開発、BtoC向けWeb開発に従事。
2007年gloopsに入社。同年、取締役CTOに就任。
自社フレームワークのコアアプリケーションの基板設計・構築、開発プロセス全体の標準化・効率化を積極的に推進。
2013年6月29日より、代表取締役社長に就任。

小黒 力也

インターウォーズ株式会社

インタビュアー 小黒 力也

理系大学院修了後、国内系シンクタンクに入社し、金融機関向けのシステム開発に従事。ヘッドハンティング業界に転じ、IT部門のマネージャを経て、現職。

小黒 力也(以下、小黒御社の現在の事業内容について教えてください。

池田 秀行 氏(以下、池田):メインはソーシャルアプリケーション事業で、主に携帯やスマホ向けのソーシャルゲームの開発運営を行っています。当社が本格的にソーシャルゲームを始めたのは約3年前からですが、これまでに30本近くのゲームを開発しています。年間何本リリースという具体的な数値目標の設定はありませんが、平均すると年10タイトルほど出しているでしょうか。従業員数は現在600名くらいになります。

小黒:同業他社さんの海外展開が縮小というニュースもありましたが、御社の今の海外展開はどういう状況ですか?

池田2011年からサンフランシスコとベトナムに子会社を設立して海外向けの展開を進めていますが、今、最も注力しているのは韓国向けですね。昨年10月にNEXONグループに入ったことで距離が近くなりましたし、韓国のゲーム市場が今、非常に伸びているという背景もあります。特にスマホ向けのゲームに関してはNEXONさんと共同プロジェクトを立ち上げており、gloopsはモバイルとソーシャルの切り口で、向こうは開発力でというように、お互いの強みを活かしながら開発を進めています。まずは韓国マーケットが対象ですが、その後はアジア圏向けに展開する可能性もあるかもしれません。

池田 秀行 氏

小黒:NEXONグループに入る前と後で変化はありましたか?

池田NEXONさんは我々のカルチャーを大切にしてくれていて、我々が築き上げたやり方や我々の良さは引き続きどんどん伸ばしてほしいというスタンスなので、それほど大きく変わったことはないと思っています。オンラインPC向けのフリー・トゥ・プレーといえばNEXONさんですから、お互いが得意とする分野は違っていますが、そういう部分での情報交換や職種ごとの交流会等は随時行っています。人事の交流があるわけではなく、基本的には独立独歩なので、我々は我々としてモバイル分野をより一層伸ばしていこうと思っています。とはいえNEXONさんはアジアに非常に強いグローバル企業ですので、我々も進出しやすくなったという利点もありますね。

小黒:ゲームの領域では、今後どういうところを目指していかれますか?

池田最近はネイティブかブラウザかという話がよくありますが、ネイティブマーケットの拡大は当社としても無視できないですね。まだそれほど多くのタイトルは出していませんが、7月からの新体制で組織したスタジオの一つはネイティブ向けになっていて、これから下半期に向けて数多くのアプリを仕込んでいるところです。これまで我々が得意としてきた男性向けのバトル系アプリだけでなく、もう少しカジュアルなラインナップも揃えています。

小黒:これまでも短期間でヒットタイトルを数多く出されていますが、その源泉はどこに?

池田やはり情熱ですね。情熱を持っている人がアプリやゲームのタイトルに取り組んでいくことがとても重要だと思います。これまで作ってきたゲームタイトルも基本的にはやりたい人がやってきましたし、そのスタイルは以前からずっと続いていますね。

小黒:7月1日付けでスタジオ制に移行されましたが、どういう意図があってのことですか?

池田ソーシャルゲームに参入したのは約3年前ですが、当時は6人くらいの体制だったのが今は600人近くなっています。これだけ規模が大きくなるとトップダウンも難しい。ソーシャルゲーム市場が拡大してクオリティが非常に求められている時代において勝ち残るためには、スピード感やより迅速な意思決定が必要です。そのためにも組織を小さくしたかったんですね。

もうひとつの理由としては、gloopsを支えてヒットコンテンツを生み出してきたトップクリエーターたちが、組織の拡大とともにマネジメントに追われるようになってしまったこと。そういったトップクリエーターにもう一度ものづくりに近いところで力を発揮してもらい、よりコンテンツ開発に力を注げるようにするためにも、組織を3つのスタジオ制にしたということですね。各スタジオに開発、デザイン、企画やシステムの担当を置き、それぞれで動いて行くというイメージです。その他にそこに属さないで横串で動くチームもありますが。

池田 秀行 氏

小黒:御社のホームページで「ソーシャルゲームではなくてソーシャルエンターテインメントのプロバイダを目指しており、ゲームはその一つでしかない」という池田さんのコメントをお見かけしたのですが、ゲーム以外の取り組みは、今どういう状況になっているのでしょうか?

池田社内でもgloopsの次の柱として未来を担える新規事業に取り組もうと動き始めています。社員からのアイデアを募集し、採用されたチームに予算を与えて実際のプロジェクトとして実現する、gloopsイノベーションジャムというプログラムもその一つ。今年に入ってから始めたのですが、前回は約30チームの応募があり、その中の何チームかが次の段階に進んでいます。もともとgloops設立時はゲームというより、コミュニケーションという切り口で世界に広がるサービスを作って行きたいという思いもありましたし。

小黒:社長に就任されて、変えたもの、変えていないものというのはどんなところでしょうか?

池田ものづくりをする一人ひとりがサービスアテンダントとしてのプロ意識を持つというところは変わりませんね。開発だからプログラムだけ書いていればいいとか、イラストレーターは絵だけ描いていればいいというわけではなくて、そこに携わる一人ひとりがモバイルデバイスの向こうにいる顧客をきちんと意識するというところは引き続き大切にしていきたいと思っています。

変わったところというか、スタジオ制にしたのも変わったところではありますが、それはこのタイミングだからということではありません。何かを変えるのは、会社として前進していくために必要だと判断した時で、それがたまたま合致したということです。

あと今後の課題としては、やはり人が急に増えたので、以前に比べると若干風通しが悪くなったところを改善したいですね。会社として一丸となって攻めて行くためには透明化、見える化は必須です。上層部と社員、上司と部下など様々な場面での信頼関係を築くためにも、色々な部分をオープンにしていきたいと考えています。

池田 秀行 氏

小黒:御社の社風や社員の方について教えていただけますか?

池田規模は拡大していますが、若い会社という事もあり、フラットな組織かなとは思います。社員にはゲーム好きも多いですが、必ずしもそうでなくてもいい。ゲーム運営上、様々な職種の方が必要ですからね。企画や開発の他にも、最近だとデータ分析のチームや、UI/UXを専門にするチームなどがあります。また、ゲームなどを通じて世の中にインパクトを与える大きなサービス開発に携わりたいというのは、基本みんなが思っていることで、それが仕事の幅を広げ、チャレンジすることにも繋がっています。会社が成長するためにはそれを支える個人が成長しなければなりませんから、より多くの社員の方にチャレンジを通じて成長してもらいたいですね。

先ほどのイノベーションジャムもそうですが、そもそもゲームの企画に関しても、上の人が決めるというスタンスではなく、公平にアイデアを募集してやりたい人がそのゲームの開発を引っ張って行くというスタイルなので、そういう意味でもチャレンジしやすい社風だとは思います。

社内

小黒:御社の雰囲気の良さがうかがえますね。そんな御社で、社員の方に望むのはどんなことでしょうか?

池田開発や企画など、それぞれスペシャリティがあるとは思いますけれど、その一つだけではなくて違う分野も多少は知っていてほしいですね。例えばエンジニアスキルに加えてデータ分析とか、デザインの知識も多少あるというふうに。そういった形になれば、チームの中での連携もより良くなりますし、その人自身の成長のためにも違う視点を持つのは非常にいいことだと思います。自分で境界を作らず、他人のところにも口出しできるくらいのほうが作る側としても面白いと思いますし、より良いものづくりができるのではないでしょうか。開発だから企画に口を出してはいけないとかではなく、自分でも提案してより面白いものを作ろうというマインドが非常にきく場所なので。

また、当社の行動指針の一つに「遠慮は罪」というのがあります。境界を作らないというのもそうですし、自分が手掛けているプロダクトを成功させるためであれば、社長であろうが誰であろうがどんどん使って構わない、遠慮は必要ない、ということですね。そのためには役職関係なしに対等な立場で意見交換できる環境も必要ですし、やりにくいとか不都合があれば、どんどん声を上げてほしいです。全てはより良いアウトプットを生み出していくためだという思いは共通ですから。

池田 秀行 氏

小黒:人数が増えていくとそれもだんだん大変になるかもしれませんね。

池田確かに発言しにくくなるかもしれませんが、そこは積極的に携わってもらったほうが本人にとっても面白いはずです。それで衝突が起こるとこともあるでしょうが、みんなが同じ方向を向いているのであれば、それもあっていいこと。衝突を恐れずにどんどん前に出てきてほしいですね。

小黒:以前拝見したオフィスの中も役職者だから別の席、というレイアウトではありませんでしたね。

池田1チーム20人くらいなので基本的にはチームごとに座席を配置しています。声が届く範囲のコミュニケーションが一番大切で、チームとしてきちんとまとまっていないとアウトプットも精度の高いものはでてきません。よりクオリティを上げていくという意味でもチーム内のコミュニケーションは非常に大切です。

小黒:池田さんはとてもフランクでいらっしゃるので、社員の方々も話しかけやすいのではないでしょうか?

池田今は若干離れてはいますが以前は社員の真横の席にいましたし、今でも私の机の前にミーティングスペースがあるので、社内の事が見えやすく、聞きやすい場所にいると思います。もちろん社員に話しかけられるのも全く大丈夫ですし。私が面白い事、楽しい事が好きで、いつも何か新しい事がしたいと考えているのは社員にも伝わっているのではないでしょうか。

小黒:どの会社でもそうですが、多少なりともミスマッチは起こりえます。御社の場合、どういう人たちにそういうことがありましたか?

池田外から見る以上にスピード感があるので、それについて来られない人はいたかもしれません。また積極的に手を挙げる人には非常にやりやすい環境だと思うのですが、急成長したために教育制度などはまだまだ整備を要するところが多く、普通の会社のようなところを期待されていた方にも、難しいところがあったかもしれません。ただ後者については、新卒の採用も始めていますし、会社としてもきちんと人が成長できる環境を整えつつあります。

ロゴ

小黒:今後、御社で一緒にやっていきたいのはどんな方でしょうか?

池田今後というか、以前からずっとそうですが、大きな事業やサービス開発に携わって自分が成長したいという情熱を強く持っている方とは、ぜひ一緒に働きたいです。また先ほども言いましたが、会社というのは色々な個性やタレントが集まってできていると思うので、職種にこだわらず、境界を作らない人だといいなとも思います。そういう方ならそれまで以上に個性が発揮できるのではないでしょうか。

小黒:最後になりますが池田さんの個人的な夢と、会社としての夢を教えていただけますか?

池田ソーシャルゲームではある一定の地位を得られたと思っていますので、何かもう少し新しいことにチャレンジしたいというのが個人の夢です。会社の夢もそれと非常に近いところにありますね。コーポレートスローガンには「みんなの手に、新しい遊びを」とありますが、ここでいう遊びはゲームだけに特化したものではないんです。スマホなどのモバイル機器をベースに、新しい体験を通じて世の中に喜びを広げたい。少しアバウトな表現になってしまいますが、モバイルエンターテインメントといいますか、そういうものを提供していける会社になりたいと思っています。

池田 秀行 氏

小黒:本日はお忙しい中、ありがとうございました。