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TOP ライブラリー クライアントインタビュー エグゼクティブインタビュー 株式会社ハウテレビジョン コーポレート本部 副本部長 人事部部長 小笠原 修裕 氏

エグゼクティブインタビュー

株式会社ハウテレビジョン コーポレート本部 副本部長 人事部部長 小笠原 修裕 氏

「全人類の能力を全面開花させ、世界を変える。」ことをミッションとしてHR領域で事業を展開するハウテレビジョン社。
その人事部長を担う小笠原さんは元々SE、営業を経験してこられた異色のバックグラウンド。小笠原さんの人事に対する想いや考え方をハウテレビジョン社の人事戦略と合わせてお伺いさせて頂きました。(https://howtelevision.co.jp/)

株式会社ハウテレビジョン コーポレート本部 副本部長 人事部部長 小笠原 修裕 氏

株式会社ハウテレビジョン

コーポレート本部 副本部長 人事部部長 小笠原 修裕 氏

早稲田大学理工学部を卒業後、2004年に株式会社日本総合研究所にSEとして入社。
その後営業部門を経て人事部に異動し、人事制度企画運用の業務に従事。
2013年にシンプレクス株式会社へ入社しそれ以降はマネジメント業務に従事する傍ら、自らもプレイヤーとして採用・人材育成・組織開発の領域を担当。その後入社したGMOインターネットグループでも同様の役割を担い、企業の急成長を人事領域から牽引。
2020年より株式会社ハウテレビジョンにJOIN。
東証マザーズ上場後のさらなる成長を、経営陣の一員として推進中。

インターウォーズ株式会社 インタビュアー 小黒 力也

インターウォーズ株式会社

インタビュアー 小黒 力也

理系大学院修了後、国内系シンクタンクに入社し、金融機関向けのシステム開発に従事。ヘッドハンティング業界に転じ、IT部門のマネージャを経て、現職。

人事部門の立上げをミッションに参画

小黒 力也(以下、小黒会社の事業内容と、小笠原さんの社内での役回りを教えていただけますか。

小笠原 修裕 氏(以下、小笠原):メインのプロダクトは新卒向けの「外資就活ドットコム」と中途向けの「Liiga」で、この2つが主な収益源です。能力開発に関わるプロダクトを作り、世の中を変える事業を展開するという考え方をしていて、将来的には現状以外にも柱を作りたいと思っています。

社員数は約60名。業務委託やインターンの方を入れると100名を超えます。管理部門はその中で大体10名で、経理、法務、人事と総務、あとは広報とITサポートの部門に分かれています。私は管理部門の副本部長と人事部の部長を拝命しています。人事部は、採用、育成、制度、労務など人事全部を担当しています。

人事部門の立上げをミッションに参画

小黒:人事部の現在の課題はどのようにお考えですか。

小笠原入社とともに人事部の立ち上げを担いました。現在は私を含めて4人のチームです。
人事部がなかったため、人事の業務が現業部門にも分散されており、そのために上手く回っていなかったものと、むしろ上手く回っていたものが混在しています。
人事の業務は継続性が大事なものが多いのですが、上手くいっていない業務の大半は継続性に課題がありました。
こちらについてはPDCAを回す工夫を施したり、継続できるように1つ1つの業務をシンプルで負担を少なくするBPRが必要となります。 上手く行っている業務については、その良さを維持するよう工夫しています。

例えば採用は、現業部門と人事が協働したほうが上手くいくと思っています。候補者のクロージングは現場の方が圧倒的に上手いですし、私たちもHR業界の一員なのでそれぞれが高い知見を持っています。両方の機能を失わずに上手く役割分担して良い採用活動ができる方法を一緒に考えているところです。

小黒:管理部門全体の雰囲気はいかがでしょうか。

小笠原それぞれの領域の経験が豊富で専門性の高い方が多いです。
例えば、外資系金融機関でキャリアを積んできたCFO、弁護士資格を持つ法務部長が在籍しています。
しかし、普段仕事をしていると良い意味でそのすごさを意識しない、柔らかい方が多い印象です。会社のビジョンである5つのバリューであるRespectを体現できている方が多いですね。

SE、営業を経て人事部長へ。異動をポジティブに捉えて経験を積んだ若手時代。

小黒:ここで小笠原さんのご経歴を伺えますか。

小笠原日本総研に新卒で入り、実は最初は銀行系のシステムエンジニアでした。その後、営業を経て人事に異動し、以降はずっと人事のキャリアです。新卒から約10年後に最初の転職をしてシンプレクス社へ。
その後、GMOインターネットのグループ会社を経て、2020年10月にハウテレビジョンの人事部長として着任しました。

SE、営業を経て人事部長へ。異動をポジティブに捉えて経験を積んだ若手時代。

小黒:SEから営業を経て人事になられたのは、どんなきっかけがあったのですか?

小笠原営業の部署に移ったのは、日本総研が会社分割で分社化しようとしていた時でした。
歓迎会の席で「分社したら、もっとこういう事をしたいです」と当時の営業本部長に話していたところ、その方が半年後に管理部門の担当役員になり、「小笠原君には新会社の人事組織立ち上げのコアメンバーとして、2年間限定で人事をやってほしい」と言われたのがきっかけです。
その時は営業に戻るつもりでしたので、2年後に当時の上司に「そろそろ営業に」という話をしたところ、「2年限定って言われたの?」と(笑)。まあ、それは冗談だったのですが、その2年間で新会社の新人事制度改定プロジェクトにどっぷり入っていて、とても充実していましたし、抜けられない人になっていたのは事実でした。

小黒:ご自身の気持ちとしてはどうでしたか。

小笠原30代手前はかなり悩みましたね。
管理部門に完全異動となると、やはりお客さんが見えなくなりますし、現場にいることにすごく遣り甲斐を感じていたので。
一方で、人事への遣り甲斐も日々大きくなり、今後は人事で行こうという思いが強くなっていきました。

小黒:そうだったのですね。
人事未経験で様々な試練や山場もあったと思うのですが、印象に残る経験を教えてください。

小笠原最初の会社の人事制度改定プロジェクトが印象深いです。
人事制度を全部作り直すプロジェクトの最前線に入り、各事業本部の部長クラスに説明会を実施し、考課者研修を行いました。ベテランの部長や課長が50名くらいいる場でプレゼンをし、鋭い質問を一人で受けなければいけないシーンがありました。
自分の意見ではなく会社としての見解を求められる立場でしたが、きちんと言えるほど自分の中で腹落ちしていないまま中途半端な回答をしてしまい、いろいろな突っ込みを受け、そこにいたほとんどの人を不安にさせてしまったことがあります。
完全に自分の頭が真っ白になっていったのを覚えていますが、事前に準備をするシナリオ作りも弱かったです。

人事としてのキャリアアップ。想い描く人事としての道。

小黒:どうやってそこを克服していくのか、人事の腕の磨き方で大事にされている事はありますか。

小笠原そうですね。腕を磨くということも大事なのですが、色々な人たちの考えや利害関係を、時間をかけて把握したり説得したりしながら、全員のコンセンサスを取るように物事を進めることが大事だと思っています。
また、人事制度や施策の実行は、人事部門だけでできるものではなく、経営に近いメンバーの賛同が必要です。
そのためのアプローチとして、責任者やトップクラスの人に「あるべき論」を伝えていく方法もありますが、ESサーベイなどの定量情報や、もっとアナログな社員の声を拾いながら、課題を抽出して変化を起こしていくというやり方もあります。
そういうステップを上手に踏む方が専門性より大事なこともあるので、状況に応じて柔軟に対応しています。

人事としてのキャリアアップ。想い描く人事としての道。

小黒:人事の仕事に対するご自身の指標をお持ちでしょうか。

小笠原採用に関しては明確なKPIを持っており、採用数・採用時期をしっかり管理しています。ただ、それがノルマになり過剰にKPIを追いすぎると採用を急いでしまいますので、バランスに気を付けています。
それ以外では、仕事に向かう姿勢や、会社を良くするために貢献したいという思い、周りから感謝されることなど、どちらかというともう少しエモいところで全員の共感が生まれるようにしています。

感情や人間関係と真っ向から向き合う仕事なので、そういうエネルギーは結構必要な気がしていて。あと簡単に変えられない課題が山ほどあるので、長期スパンで物事を考えなければなりません。いつまでに結果を出すということよりも、少しずつでもいいから変え続ける・良くし続けるマインドの方が大事だと思っています。

小黒:小笠原さんが考える人事の素養、求められる能力、また大事だと思われるのはどんなことでしょう。

小笠原1つ目は粘り強さだと思います。
結論の出にくい問題や、時間が経つと結論が変わる問題が結構ありますし、その場で決められない問題もたくさんあります。それに、例えば社長に何か提案して、全然興味を持ってもらえなかった時に、そこで諦めるのではなく、どうやったら興味を持ってもらえるか、あの手この手で違うアプローチをしていると、ある日その社長の意向が変わり自分の提案を受け入れてくれる、みたいなことって結構あるんですよね。粘り強く言い続ける力って必要だと思います。

2つ目は、地味にコツコツ続けることも大事です。
人事の施策って華やかに見えるものもたくさんあり、例えばオンボーディング施策導入しましたとか、エンゲージメント向上のために1カ月に1回ご飯を食べる機会を作りましたとかいうのは、目に見えやすく共感されやすい施策なのですが、本当に会社にとって良いことかどうかという目線を持つことが重要だと思います。派手さはなくても長続きできてきちんと定着させていく方が、よほど大事な気がしています。

そして3つ目は、上手く公と私を使い分けられることですね。
社員の一人として、自分の利害のためにあれを制度化して欲しい、これはして欲しくないとか、やはり社あると思います。ただ会社としての立場で判断しなければいけないので、それが公平・公正なのか、今これを許可した結果他の人に対しても会社が許可できて、ちゃんと維持できるかを考えないとならない。
その時は「私」の気持ちより「公」の立場で考えることが必要だと思います。

小黒:小笠原さんの今後のキャリアプランや夢を教えてください。

小笠原人事責任者をやってみたいという目標は5年前くらいから持っていて、当時その目標を手帳に書いていました。その内容を振り返ってみると、「自分の中でずっとやりたかったこと」を、この会社で実現できている実感があります。
ただ今の時代に求められていることなのか、今の事業規模に合ったことなのかというと、必ずしもそうではない。
ですから時代のニーズに合ったことをちゃんと勉強し続けていきたいです。

私のキャリアの中心はSIerですが、インターネットサービスの会社は同じIT企業でも全然違います。きちんとキャッチアップしながら、この会社に合ったことをやっていきたいというのが、自分の直近の夢でもあります。

小黒:現職でやりたいことが実現できているのは何故でしょうか。

小笠原ハウテレビジョンのミッションステートメントは「全人類の能力を全面開花させ、世界を変える。」です。
これを人事部の組織目標にブレイクダウンすると、「全従業員の能力を開花させ、会社を変える」になるのですが、これってつまり一般論としての人事部のミッションだったりします。そう考えると人事の役割の延長線上に会社の目指す姿があるんです。会社のやりたいことと人事として目指したかったことがピッタリ一致しているんですよね。
そういう土壌があったことが理由ですね。

「Users First」に共感し集まる異能な仲間たち。

小黒:ここで会社の雰囲気や社風を改めて教えていただけますか。経営陣も40歳位と若い方が多いですね。

小笠原「外資就活ドットコム」と「Liiga」というWEBサービスを運営しています。Top of Topの学生や社会人をターゲットにした採用プロダクトです。
そういう人に刺さるようなものを作ったり、そういう人たちを求めている人事に営業を仕掛けたりしなければならないので、とても優秀な人が多いという印象はあります。
ただ優秀なだけではなくて、会社が持つ5つのバリュー
(※Challenge、Transparency、Ownership、Users First、Respect)、特にUsers Firstという考え方にみんながとても共感している。

「Users First」に共感し集まる異能な仲間たち。_01

経営陣が40代前後ということについては、同じくらいの年代ではありながら専門性がみんな違うので、お互いの専門性にきちんと敬意を持って接している人が多いと思います。また40歳前後は勢いと冷静さの両方のバランスがいい時期だとも思います。ただ50代や60代の経営者から見ると、経験が少ないところもあるので、社内でいうと監査役や社外取締役、あとは外部の専門機関にサポートしてもらいながらやっています。
※5つのバリュー:(https://howtelevision.co.jp/company/5values/)

小黒:優秀な人たちが多いと、ボトムアップでいろんな現場から意見が出てきて物事が動いていくという印象がありつつも、経営陣も若くて実力があるのでトップダウンで物事が進んでいくイメージもあります。
その辺りは如何ですか?

小笠原社長の音成は創業者でもあるので、やはりプロダクトに対する強い想いを持っています。ただ上場会社としてもガバナンスは順守していますし、音成は議論をしながら決めることを大事にしているので、意思決定は経営会議などで議論して決めていくケースばかりです。その際は各専門家集団が自分の立場や意見をフラットに議論しています。
私も人事に関わるところだと、社長の考えや想いに懸念があればきちんと伝えています。ですので、トップの想いは強いのですが、トップダウンで物事が全部決まっていくことはないです。

また、Users First を大切にしていて、そこへの共感度は採用時の大切な軸にしています。Users Firstってすごく魅力的なワードでして、人によっていろいろ解釈は分かれますが、共通して言えることは「自分ファーストではない」ってことなんです。
つまり、相手のことを考えたり、相手の立場に立てる方が多いんですね。
そういう社風を作っているのは音成自身のパーソナリティに起因する部分は大きいと思っています。

小黒:今後どんな人に仲間になってほしいですか。

小笠原今の自社サービスは採用中心のプロダクトですが、その幅はどんどん広がっていきます。
新しい領域のビジネスをスタートするに当たっては、その領域の専門家が必要になりますので、多岐にわたる業界から様々なプロが集まってくれるといいなと思っています。
またその人たちがパフォーマンスを発揮できるような組織体制もきちんと作って行かなければいけない。一方で、Users First的な考え方や5つのバリューは普遍的であっていい。一定の人間性は、会社としても維持していきたいと思います。

小黒:最後になりますが、今後御社を受けたいと思う転職希望者の方に、メッセージやアドバイスをいただけますか。

小笠原採用面接でお会いする候補者の方が当社に共感頂くポイントは、Users First を追求しているところです。
そういう方々って、「ユーザーのためになる、世の中にないものを作りたい」「他の人のためになるようなことに貢献したい」といった想いを持っているんですね。
もしこの記事を閲覧頂いている方で共感して頂ける方がいらっしゃったら、ぜひ興味を持ってもらえると嬉しいです。

「Users First」に共感し集まる異能な仲間たち。_02

小黒:本日はありがとうございました。