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コンサルタントコラム

Voice 91 強い組織を作るリーダーの特性「巻き込み力」

今年のプロ野球はオリックスバッファローズが昨年のリベンジを果たすことで終了した。
中島監督と同様に、昨年のヤクルトスワローズ高津監督にも同様の傾向がみられた。
それは球団経営者、球団スタッフ、コーチ陣、選手(育成・二軍・一軍)すべての球団経営に関わる人たちを上手に「巻き込んでいる」ということだ。共に二軍監督を経験し、成長途上の選手をよく把握しているということはあったかもしれないが、それだけで勝てるチームが作れるわけではない。チームの方針・目標を決定し、それを達成するために各分野の改善活動に対し「周囲の人達が主体的に取組むチーム」として高いレベルで機能することが必要だ。結果的にこのような強いチームを作るには「リーダーの巻き込み力」が必須と言える。

個人事業主の集合体であるプロ球団の日常的には、さほど必要とされる能力ではないが、組織に何らかの変化をもたらしたり、球団が次のステージを目指す時には必ず求められる能力で、これは「成長企業」においても必須の力と言える。
この「巻き込み力」が機能したからこそ、かつての常勝軍団ソフトバンクを二年連続で破って日本一にも輝けた。

強い組織を作るリーダーの特性「巻き込み力」

我々の日常取組む仕事も同じで、1人の力では限界がある。
周囲の人の協力が絶対に必要で、このとき無理矢理協力させるのではなく、嫌々手伝ってもらうのでもなく、周囲の人が自発的に協力してくれる状態を作ることが「巻き込み力」である。
仕事を共に進める場合、能動的なチームは、様々な問題が発生しても皆が「私がやりましょうか?」というスタンスなので、スムーズに進んで行く。

巻き込まれる周囲の側からすると、
「この人に頼まれたら断れない」「この人なら協力してあげたい」「このチームなら是非自分も参加したい」と思えるかどうかだと言える。そのためには以下の4つの姿勢努力が必要と言われる。

  1. 普段の仕事の姿勢・熱意
  2. 良好な関係づくり
  3. 伝える力
  4. 自分のためでなく相手のため

1と2は日常の仕事で培っておくもの、3と4は巻き込む段階になって求められる。
普段からいい加減に仕事をしている人が周囲に何かを頼んでも、「是非手伝おう」という気持ちにはなってもらえない。
常日頃から仕事に真摯に向き合い、情熱をもって取り組んでいる人は、周囲の人の心を打つ。

この取り組み姿勢が欠ける人は周囲を巻き込むことは不可能である。
頼むときだけ絶妙なトークで誘ったところであっさり見透かされてしまう。 

では 巻き込み力 を高めるには?
まず日常の仕事から意識する必要がある。どんな仕事にも情熱をもって真摯に取り組み、周囲の人(上司、部下、同僚、社外も)と良い関係性を築いておくことだ。
いざ周囲の人を巻き込む時には、物事をわかりやすく伝え、背景・目的から目指すところまで情報を余すところなく丁寧に伝え切る必要がある。そして何よりも周囲を巻き込むためには相手の心情を慮り、相手を尊重することだ。

相手に対し「あなたは巻き込まれて(参加して)当然!」という発想は決して持つことなく、巻き込まれてくれる人に感謝する気持ちを忘れてはならない。

「松下幸之助 語録集」より
・ありがとう。お陰様で。
・他力を信じ感謝すると他力が集まる。
・飾らぬ自分が一番強い。自分をさらけ出せ!

まだまだ未熟を反省する毎日だが先人の言葉に学びながら精進したい。

取締役 エグゼクティブコンサルタント
片原 和明