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コンサルタントコラム

Voice 17 フィンチのくちばし

事業開発では、企業経営が環境変化に対応できないといけない例えとして、ダーウィンの「進化論」をよく引き合いに出す。

「種の起源」で有名なダーウィンのこの説は、今まで、「種」の存続の為、多くの犠牲を伴って環境の変化に対応すべく、生物は長い年月をかけてゆっくり変化してきたと思われてきた。

ダーウィンが研究したガラパゴスに住む「フィンチ」はこの進化論の着想のもととなった鳥である。スズメの仲間のこの鳥は、昆虫や、種子、木の実、動物の血など様々なエサによって種類が分かれ、それぞれが異なるくちばしをしている。

ピューリッツァー賞を取った、この鳥の観察から生物の進化を研究した本「フィンチのくちばし」によると、この鳥の環境に伴う変化は、今まで思われてきたように、何十代、何十年とかかって変化していくのではなく、目に見える速さで自らのくちばしを変え「どんどん」適応しているそうだ。

ビジネスを取り巻く環境の変化は増して、ビジネスの変化のスピードも、商品のライフサイクルもどんどん早く、短くなってきている。

戦略の再定義を求められたり、買収または破綻したりと、経営に大きな変化が出てくる企業は今後更に増え、これから先も現在の自社のコア事業に変化がない、という企業の割合は全体の50%以下になるとの予測もあり、会社の環境も大きく変わってきているようだ。

フィンチですら、環境変化でエサが変われば、生き残る為、短い期間ミリ単位でくちばしが変化する。

ならば我々ビジネスマンも、古い価値観のうち、引き継ぐべきと捨てるべきものを見極め、新しい価値観を作り上げ、会社も、事業も、人間も進化していかねばなるまい。

インキュベーションディレクター
高田 亘