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コンサルタントコラム

Voice 87 若者に挑戦の機会を与えることが未来を創る!!

新卒入社の1年後退職率13%、3年後退職率30%が意味するものは何か?
数字的には直近が微増ではあるが、厚労省の統計ではこの30年間ほぼ同水準である。
しかしながら、優秀と期待されて入社した人材ほど「自分の未来の輝く姿が見えない。
自己重要感が感じられない。自分にふさわしくない。」こんな理由が多いことが注目されている。
ネット社会で何でもすぐ調べられるし、どんどんレコメンドされるため、情報過多で何が自分に相応しいのかわからない。分からないから欲しいものも思い当たらない。
こんなことが背景にはあると論ずる方々もいる。

若者に挑戦の機会を与えることが未来を創る

片や、学生時代から経営者を目指し、実際に起業する人や大学発ベンチャーも珍しくなく、今までの常識を超えた動きが目に付くようになっている。
ただ、いずれの若者にとっても、知っていることと体験したことは全く違うし、ましてや社会人になって自分の稼いだお金を活かして如何に自分の人生を豊かにして行くかは、これからという時期である。何を根拠にこの会社は自分に相応しくないという結論を導くのか?

数10年前の自分の新人時代だって「今の会社は自分には相応しくない」とか、「いつまでこの会社でキャリアを積むのが良いのか?」なんて自問自答を何度もあったし、自分の回りの仲間の間ではそんな言葉が飛び交っていた。では何故このような現象が起こっているのか。幸いにも私の新人時代には私の性格をよく理解してくれて、私の成功体験に結び付くと思われる仕事を与え、手厳しくも見守ってくれて、時に助言もくれて、且つお酒もおごっていただけるありがたい先輩や上司が確実にいてくれた。
仕事の納期は守らなければ許されないが、時間管理も緩やかで「先ずは自分でやってみることを促し、前向きなら挑戦させてくれた」又、助言を求めると自分の仕事を脇に置いても相談に載ってくれた。そして「お前は何故そう思うのか?お前はどうしたいの?」と問いかけてくれた。
おそらく時間でいえば数秒か数分のことでしかないけれども、この一瞬の「真剣なコミュニケーション」こそが「自ら考え行動することで、自分の仕事が楽しくなる」ことに気付かせてくれた。成長実感とはそういう瞬間に持てるものではないか。能動的な学び方を身に付けていくことが原点だと信じる。

悲しいかな2020年度、日本の一人当たりGDPは既に世界の29番目になっている。
新たに世界で戦える産業・事業を生み出す以外に国も企業も道はない。
また自ら考え行動し、新しい産業を生み出すのはいつの時代も若者なはずだ。若者に真剣に向き合いながら「自分の考えを持ち、周りを巻き込み大きな事業を起こせる人材を生み出す風土形成」こそが国・企業・学校・家庭すべてにおいて必要なのだと思う。子供たちや若者に夢と希望も抱いてもらえる様に、経営者も大人も「聴く耳を持ち、時代に投資していく姿」を見せたいものだ。

新規事業を提案する制度を新たに設ける会社は沢山あるが、審査の段階で本業と同じ基準を持ち出したり、判断する経営陣が新規事業をやったことがないから、どこに可能性があるのか手ごたえを感じられない。
結果的に投資の意思決定ができないということはよくある。「これは健全なる赤字事業なんだから先ず挑戦してみなさい!」と言って勇気・覚悟をもって決済できる経営者の元を、本当にやる気に満ちた若手が見限って去ってしまうだろうか?
もちろん頑張りや成果に対する評価は適切にするべきではあるが、新規事業に取り組むことは間違いなくその人を成長させるものだと確信する。短期の目の前の利益を捻出し、これ以上内部留保を積み上げることに何の意味があるだろうか。

「若者に挑戦の機会を与えること=投資」こそが未来の成長を確保するために最も重要なことだと信ずる。
自分を育ててくれた諸先輩に感謝するとともに、後輩たちから頼りにされるように日々の精進を続けることを誓う。

取締役 エグゼクティブコンサルタント
片原 和明